「越中富山高岡の古社詣で・1」
<平成16年10月参拝>

目次
その1・富山「雄山神社」「富山日枝神社

その2・高岡「関野神社」「射水神社」


その3・伏木「気多神社」「伏木神社」


前日は台風だった。そんなことをいわれても二ヶ月前に確保していた航空券に台風の予感を盛りこむのは無理がある。さしあたり羽田空港におもむけば、案の定に前日の運休ラッシュのあおりで人々は右往左往していた。
私が目指す富山空港はフライトはしてくれるらしいが、それでも「悪天候のために小松空港に切り替えになる可能性もあります」とか放送が流れている。

定刻7時50分発予定。若干はおくれたがなんとかフライトをする。しかし問題は富山にあった。空から見る富山空港は、かなり恐怖を感じる。神通川の河川敷に広がる空港上空を超低空で旋回し、雨の降る中で風を感じ、田圃と民家が迫る中で、翼先が触れるのではないかというほどの調整で急降下着陸。ちいさな滑走路をギリギリまで滑って、ようやくに着陸。私も多少は飛行機に乗り慣れたが、それでもここまでドキドキした、恐怖を感じたフライトははじめてであった。

富山空港から直ぐさまにバスに乗り換えて、バスは予定時間通りに富山駅に到着し、私は富山地方鉄道富山駅に9時40分に到着。

富山地鉄
電鉄富山駅
富山地鉄
岩峅寺駅
富山地鉄
岩峅寺駅不二越上滝線ホーム
富山地鉄
南富山駅は市内路線乗り換え駅

9時33分に出発した電車は、山に向かっているな、という気配が近づくとともに富山市内では止んでいた雨が到来し、私は10時30分頃に岩峅寺駅到着。常願寺川に接した地域は、立山連峰の山麓拠点。

岩峅寺駅から、大雨のなかをトボトボと歩く私は、かなり不思議な心境。この台風騒ぎのなかで、一体何をしているのだろうと自問しつつ、10時40分に社頭に到着。


雄山神社・前立社壇(式内社・国幣小社・越中一の宮)
<富山県中新川郡立山町岩峅寺鎮座・朱印

祭神
伊邪那岐神
天手力雄神

由緒
立山連峰の山岳信仰に発する神社。立山は富士山・白山とともに日本三霊山に数えられる山岳信仰の霊場。
「雄山神社・峰本社」は立山峰の山頂に鎮座し、芦峅寺に「雄山神社・中宮祈願殿」が鎮座。岩峅寺には「雄山神社・前立社壇」が鎮座している。
現在は三社をあわせて宗教法人「雄山神社」としているが、神社としてはそれぞれが独立している。

大宝元年(701)に景行天皇の後胤末裔とされる佐伯有若が越中守として下向。有若の子である佐伯有頼が白鷹と黒熊に導かれて立山を開山したことにはじまるという。

延喜式内社小社列格。気多・高瀬とともに越中一宮とされる。中世期には神仏習合が盛んとなり、修験道・山岳信仰の代表的な霊場となる。
中宮祈願殿は神仏習合時には芦峅寺・中宮寺と称し、前立社壇は岩峅寺・立山寺と称されていた。
雄山神社峰本社は冬は雪のために登拝することができないために、山麓に里宮として前立社壇が建立。
前立社壇の本殿は明応年間(1492−1501)頃の建立とされ国指定重要文化財。

明治6年県社列格。昭和15年に国幣小社昇格。

雄山神社
左手は常願寺川
雄山神社
東神門
雄山神社
西鳥居
雄山神社
西神門
雄山神社
拝殿
雄山神社
本殿
雄山神社 境内風景
左から八幡・刀尾・稲荷社
その向こうに雄山神社社殿

なにやら豪雨なのですが。私がいまいるこの瞬間、急激に雨が強くなった気がする。そんななかで社務所で朱印を頂く私は、見ようによってはかなりあやしい参拝者でもある。私としてもこんな雨の中で参拝をしたくはないが、こういう縁も大事なのかも知れない。
かえって「風情が良い」という都合の状況を楽しむ。たしかに雨に濡れる境内は、ますますの神々しさをかもし出し、今いる環境も逆にありがたいかもしれない。

岩峅寺の駅から、電車にのりこみ今度は「南富山駅」にて降りる。南富山まで来れば、すでに雨も止んでいる。ここから富山地方鉄道市内線に乗り換えて「西町」電停で下車。すぐ近くには「富山日枝神社」が鎮座している。



富山日枝神社(県社)
<富山県富山市山王町鎮座>

祭神
大山咋神・大己貴神
相殿
天照大御神・豊受大御神

由緒
富山城下の総産土神として崇敬。
創建年代は不詳。南北朝期にはすでに新川郡針原大野(現在の富山市針原)の地に鎮座していたともされる。
建武二年(1335)に新川郡鬼戸山に兵火を逃れて遷座。延元元年(1336)には同郡中野村、応安2年に婦負郡藤井村に遷座という。
越中前田藩が成立すると、総鎮守として崇敬。
明治32年に県社列格。明治34年に現在地に遷座。

富山日枝
正面参道。右側に社殿がある
富山日枝
社殿

12時10分。
地図と事典をながめていて、行きやすそうな立地条件だからという理由で参拝。予備知識もなく立ち寄ってみたが、社殿規模は大きい。さすがに富山市内を代表する神社だ。神社も「日枝」といわれればなるほどなあ、といった雰囲気がどことなくある。

西町電停から再び市内鉄道に乗り込めば富山駅へ。富山駅から高岡駅にいきたいところだが、ここで立ち往生。富山高岡間は約20分でいけるのだが、台風の影響でダイヤが乱れまくっており、電車は30分遅れている。私が高岡駅に到着したのは富山駅到着から一時間後の13時25分だった。


参考文献
境内案内看板・由緒書
神社辞典(東京堂出版)
角川地名大辞典



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