「大阪の神社詣で・2」
<平成7年3月参拝>

目次
その1「桜井神社」/「大阪天満宮」
その2「枚岡神社」/「瓢箪山稲荷神社



枚岡に行く前の私は「水無瀬神宮」にいた。地域的に方向が違うので別立てで「枚岡」から話をはじめる。ちなみに「水無瀬」の前には大原野や長岡天満にいたのだが、それらは他ページでの掲載、ということで。

水無瀬から大雨になっていた。しょうがないから、南下して大阪環状線に辿り着く。さてこのあとどうしよう。もう宿屋にチェックインしようかな、とも思ったが、時折雨があがり晴れ間になる。
それならば、ということで畿内で赴いていなかった一之宮がある枚岡に近鉄電車で直進する。
・・・枚岡駅は土砂降りだった。駅でしばし、雨宿り。目の前に神社があるのだが、身動きがとれず、しばしの間を茫然とする。



「枚岡神社」(式内名神大社・河内国一の宮・旧 官幣大社・現 別表神社・平岡大明神・元春日社)
<大阪府東大阪市出雲井町・朱印

祭神
天兒屋根大神 比賣大神
配祀 武甕槌命・齋主命

神武天皇三年に、天種子命に命じ、その祖神である天児屋根命を神津嶽に祀ったことにはじまる。
天児屋根命は中臣氏(のちの藤原氏)祖神。中臣支族である平岡連が河内国に祖神を祀ったのが本社であるとされる。
孝徳天皇の代に生駒連山神津嶽の西の麓(現在地)に遷座。光仁天皇の代に春日社の繁栄の元に武甕槌命・齋主命を合祀。
社殿は四殿が横一列に並んでいる。
第一殿:天児屋根命
第二殿:比売神
第三殿:武甕槌命
第四殿:齋主命
奈良平城京に春日大社が創始される際に、本社から第一殿第二殿の神を迎えて奉斎されている。ゆえに当社を「元春日社」とも呼称。
ちなみに春日社では
第一殿:武甕槌命(鹿島神宮)
第二殿:経津主命(香取神宮)
第三殿:天児屋根命(枚岡神社)
第四殿:比売神(枚岡神社)
を祀っている。

延喜式内の名神大社。皇室外戚の守護神として篤く崇敬。
中世期には河内国一の宮。明治社格では官幣大社。現在は神社本庁別表神社。


近鉄枚岡駅前 元春日枚岡大社 

正面

正面

境内にはみそぎ場もある。水が豊かな境内。

境内には小川も流れる。

しめ縄の向こうに拝殿

もちろん鹿が両脇に控える

拝殿

拝殿後方。本殿とは独立している。

本殿。春日造りが四殿並ぶ。

境内脇参道。

摂社:若宮社

枚岡神社に到着したのは15時30分頃であった。あやしかった雲行きが、突如として集中豪雨となり、そしてなにやらミゾレのようなものまで降り出す中での参拝。最初のうちは写真なんかが撮れる環境でもなく、雨が止んでからの撮影。
意外にも、枚岡神社には雨がにあっていた。鬱蒼とした樹木と古色然とした境内風景が、しっとりと洗われて、境内の木々もいきいきとしているような気配になる。雨上がりの神社もかなり好きだ。
近鉄枚岡駅を降りれば目の前に神社。参道がゆるやかに生駒山神津嶽にむけてのぼっている。山麓に鎮座の神社は、そんな傾斜を活かした境内構図。
雨ということもあって、ゆっくりと滞在し、存分にまどろむ。時間があれば山頂まで登りたいところだが、すでに夕刻。さすがにいまからでは日も暮れるので、境内をグルグルと巡って、1時間ばかりをすごす。



「瓢箪山稲荷神社」(辻占の総本社・日本三大稲荷のひとつ)
<東大阪市瓢箪山町鎮座>

祭神:保食大神

天正12年(1584)豊臣秀吉が大阪城鎮護のために片桐且元に命じて、城の巽(南東)の方向に金の瓢を埋めて伏見稲荷城から「ふくべ稲荷」を勧進して稲荷社を祀ったことにはじまるという。

鎮座地は山畑古墳群のうちで最も古く6世紀初め頃の古墳群最大古墳である双円墳「瓢箪山古墳」の西斜面に社殿が鎮座している。
本殿に向かって右側を鬼塚、左側を大塚と呼称する双円墳。大塚は狐塚ともよばれ、神狐が住まわれていた。

当社は特に「辻占い」が著名。
おみくじを引き東参道入り口の占場(うらば)に立つ。おみくじの番号が1なら1番目に通る人物、2なら2番目に通る人物の性別、服装、持ち物、連れの有無などを観察し、社務所に戻って報告する。宮司はこのデータをもとに神意を判断する、という。

瓢箪山
商店街のなかに、駅から歩んで左に折れれば参道
瓢箪山
正面
瓢箪山
拝殿
瓢箪山
境内風景
瓢箪山
脇参道
瓢箪山
古墳と境内

枚岡駅の隣駅が瓢箪山駅。瓢箪山には稲荷があるらしく、駅前に大きな看板が出ていた。もののためしに途中下車して立ち寄ってみる。
駅から南に約100メートル商店街のなかを歩けば、左手(東)に鳥居がある。そこをまっすぐに約180メートル進めば神社が鎮座している。
ちなみに社殿は大阪城に向けて西面している。

「日本三大稲荷」との看板も出ているが、私は知らなかった。世の中には三番目になると、なかなか大変なのだ。
稲荷にしても、伏見稲荷大社は別格として、その他に三大稲荷を呼称している稲荷として
豊川稲荷(豊川市・・・仏教系稲荷)
竹駒神社(岩沼市)
笠間稲荷神社(笠間市)
千代保稲荷(岐阜県海津市・・・仏教系稲荷)
瓢箪山稲荷神社(東大阪市)
最上稲荷(岡山市・・・仏教系稲荷)
祐徳稲荷神社(佐賀県鹿島市)・・・などなど。まあ、いろいろ。

で、瓢箪山稲荷。冒頭からの感想は「稲荷らしいなあ」という気配。そこはかとなくうれしくもなる。まさに稲荷!というイメージ通り。別に私は稲荷=千本鳥居とかのイメージではない。稲荷=庶民的、土俗的な感じを抱く。そんな意味での「稲荷らしさ」にあふれている。
土臭いような、地域型であれど、「神社らしい」気配が伝わってくる。夕暮れの瓢箪稲荷。予想以上に興味深く、稲荷を楽しむ。


参考文献
境内案内看板・由緒書
神社辞典(東京堂出版)




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