『明治社格制について』



 明治四年(1871)の太政官布告によって神官の世襲制度が廃止され、神社規定等が制定された。
 官社以下の社格は『延喜式』以来の尊信を鑑みて制定。
 神祇官所属の神社は官幣大社・中社・小社にわけられ、制定時には97社であった。
 一方、地方官所属の神社は国幣大社・中社・小社にわけられ、官・国幣社以外の神社は諸社と呼ばれ、これを府県社・藩社(藩社は明治四年年七月十四日の廃藩置県によって藩自体が消滅したために、藩社に列格された神社はない)にわけた。
 発足当初は官社97社が列格。(官幣大社29社・官幣中社6社・国幣中社45社・国幣小社17社)。なお発足当初は官幣小社・国幣大社の分類はなくのちに追加された。

 明治五年には敕旨で創建された湊川神社が別格官幣社(官幣小社に準じる社格)に列せられた。

 官幣社は祈年祭・新嘗祭・例大祭には、皇室からの幣帛料(神前に供えるものの総称)が供進された。
 また、国幣社の祈年祭・新嘗祭には皇室から、例大祭は国庫から幣帛が供進された。

 官国幣社の下には府県社が位置した。また明治四年に郷社定則が制定され、一郷で多く信奉されている神社を郷社とし、次に一村で信奉されている神社を村社、村社に至らない神社を無格社と定めた。

明治社格
官幣社 古くは神祇官から幣帛を捧げた神社。
明治以降は宮内庁から幣帛を共進した神社。
官幣大社、中社、小社の三等がある。
主に皇室尊崇の神社、天皇・皇親・皇族・功臣をまつる神社。
大社・62社
中社・26社
小社・5社
別格官幣社 官幣小社と同等の待遇。
主に臣下・功臣を祭神とする神社。
別格・28社
国幣社 官幣社に次ぐ。古くは国司から幣帛を奉った神社。
明治以降は国庫から幣帛を奉った。
国幣大社、中社、小社の三等がある。
主に国土経営に功績があった神をまつる。
大社・6社
中社・47社
小社44社
官幣社計・121社/国幣社計・97社/官国幣社計/218社
府県社 道府県から幣帛を奉った神社。 1148社
郷社 府県または市(郷)から幣帛を奉った神社。 3633社
村社 村から幣帛を奉った神社。 44934社
無格社 無格という格の神社。格がない社という意味ではない。 59997社
*摂社 本社に付属し、本社に縁故の深い神様をまつる。
主に本社祭神の后神や御子神。または地主神や縁のある神など。
本社境内にある社と、境外に独立している社とがある。
境外社の場合は明治社格に列格していることもある。
*末社 本社に付属する小さい社。
本社とは縁がないが、崇敬者が勧進した神々など。
社格列格数・109930社(昭和21年2月社格制度廃止時)
なお「伊勢神宮」は社格を超越しているため上記には含まない

社格序列としては
1・官幣大社>官幣中社>官幣小社>別格官幣社>国幣大社>国幣中社>国幣小社>府県社>郷社>村社>無格社
の順。
ただし説によっては
2・官大>国大>官中>国中>官小>国小>別格>府県>郷>村>無
という意見もある。個人的には官幣社(大中小別)>国幣社(大中小)なので「1」説なのだが。

この明治社格は昭和21年2月2日に敕令第71号によって廃止されたが、現在でも神社の格をあらわすのに多用されている。

*伊勢神宮は社格を超越した存在であるから上記には含まない。

 なお現在は、約81400社の神社があるといわれている。
 社格廃止時より減っているのは廃社や統合が進んだため。
 現在、神社本庁管轄神社は約7万9400社。その他の神社神道系、教派神道系、単一宗教法人系で約2000社があるという。


*****官幣社・国幣社の個別神社については別掲載*****



<参考文献>
國史大辞典』吉川弘文館/『日本の神様読み解き辞典』川口謙二編著・柏書房




前に戻る


* 実は官国幣社のうちわけが時期によって違うため帳尻が合わない(笑)
うちわけの数がどうにもいろいろあるので。
最終の社格では「海外神社」は数えないようだし。
ただいま調査中につき、勘弁願います。